映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』を鑑賞しての備忘録
2019年製作のアメリカ映画。135分。
監督・脚本は、グレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)。
原作は、ルイザ・メイ・オルコット(Louisa May Alcott)の小説『若草物語(Little Women)』。
撮影は、ヨリック・ル・ソー(Yorick Le Saux)。
編集は、ニック・ヒューイ(Nick Houy)。
原題は、"Little Women"。
1860年代のニューヨーク。ジョー・マーチ(Saoirse Ronan)は出版社ロバーツ・ブラザーズを訪れる。ダッシュウッド(Tracy Letts)に「友人の原稿」として作品を見せると、道徳的な内容は受けないとか冗長だと評され、ジョーは落胆する。だが、意外にも彼から原稿を採用すると言われ、ジョーは匿名作家として相場より低いものの20ドルの稿料を手に入れることができた。また作品を持ち込んでも構わないかと問うと、ヒロインは結婚か、さもなくば死か、という条件を満たすよう釘を刺される。欣喜雀躍のジョーだが、家計を助けるため家庭教師の仕事をしながら生活を切り詰めて創作に当たらなければならない。下宿先で知り合った大学教員のフリードリッヒ・バール(Louis Garrel)は執筆の参考にとシェイクスピアの作品を提供してくれた。だが彼の作品に対する率直な批評は、稼ぐために作品を書かなければならないジョーの痛いところを突いたものだった。つい不機嫌になってバールに悪態をついてしまったジョー。それから間もなくして妹ベス(Eliza Scanlen)の病状の悪化を知らせる手紙を受けたジョーは、バールとの関係を修復する間もなく汽車でコンコードの実家へと向かう。ジョンの姉のメグ(Emma Watson)は四人姉妹の中でいち早く結婚して実家近くに居を構え、優しい夫ジョン・ブルック(James Norton)との間に双子を授かっていた。ジョーのもう一人の妹エイミー(Florence Pugh)は独身の裕福な叔母(Meryl Streep)とともにパリに滞在し、画家を目指して研鑽を積んでいた。エイミーは密かに恋い慕っていたローリー(Timothée Chalamet)に再会する。実家の近所の富裕なローレンス(Chris Cooper)の孫であるローリーは、ジョーといい仲であったが、プロポーズを断られた後、自堕落な生活を送っていた。
ジョーがニューヨークからコンコードに帰郷する過程で、自身の、そして四人姉妹の青春時代を回想していく。南北戦争に従軍する父(Bob Odenkirk)が不在のマーチ家は、母(Laura Dern)とハンナ(Jayne Houdyshell)によって苦しい家計が切り盛りされ、希望に満ちた少女たちの引き起こす騒動によって賑やかな生活が送られていた。時が流れ、青春時代は振り返るものとなった彼女たちを、かつての彼女たちと対比させるシーンが鏤められている。失われた過去の輝きはまばゆいばかりで、切ない思いを姉妹たちとともに痛切に感じさせられる。
誰に対しても自信をもってお薦めできる作品。キャストのいずれも素晴らしいが、何より『レディ・バード』のGreta GerwigとSaoirse Ronanのタッグ、恐るべし。
Saoirse Ronanの名前は難読。彼女の存在は『ブルックリン』で印象づけられたが、それ以前に『ビザンチウム』も観ていた。『グランド・ブダペスト・ホテル』にも出演していたようだがどんな役だったのかまったく記憶にない。