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芸術鑑賞の備忘録

映画『暗数殺人』

映画『暗数殺人』を鑑賞しての備忘録
2018年の韓国映画
監督は、キム・テギュン(김태균)。
脚本は、キム・テギュン(김태균)とクァク・キョンテク(곽경택)。
原題は、"암수살인"。

釜山警察の薬物対策係に所属するキム・ヒョンミン(김윤석)は、雨の中、捜査協力者チョンボン(김영웅)の案内で、冷麺店へ向かう。かつて死体遺棄に関与したカン・テオ(주지훈)と接触するためだ。3人が冷麺をすすりながら話をしていると、数名の男たちがカンを襲撃し羽交い締めにする。彼らは刑事で、カンは恋人殺害の被疑者として逮捕されたのだった。数ヶ月後、非番のキムがゴルフ場を回っていると、見知らぬ番号から電話が入る。冷麺店で名刺を渡したカンが拘置所から電話してきたのだった。キムは話を切り上げようとしたが、カンから殺したのは7人だと告げられると、キムは彼のもとを訪れざるを得なかった。面会したカンは、警察が提出した被害者の衣服は偽物で、本物は公園の鳥の巣箱の中に隠してあると言う。キムがカンの描いた地図をもとに現地に向かうと、果たしてカンの言うとおりであった。キムが他の事件について問うと、カンは6件の殺害を紙に箇条書きにしていく。刑を逃れたいカンがなぜ自白するのか。キムはさらなる情報をカンに求めるが、小出しにされ、その都度金銭などの要求に応じながら、独自に捜査を進めていく。その最中に行われたカンの裁判に証人として出廷したキムは、カンの主張に沿った証言を行い、検事(문정희)の提出した証拠が偽造されたものであることを立証する形になる。裁判長は捜査の違法性を酌量し、カンの刑期は短縮されることになった。キムは刑事課への異動を願い出て聞き入れらるが、刑事課長(정종준)からはカンの余罪を追うのは身を滅ぼすことになると釘を刺される。だがカンがタクシー運転手をしていた頃に犯した殺人事件の被害者の遺体遺棄現場について、キムが現地に赴いたところ、カンの描いた地図通りであったため、キムは課長に遺体の捜索令状とるよう要求する。

 

주지훈が極めて有能な連続殺人犯を虫唾の走るキャラクターとして見事に造形し、김윤석の演じる忍耐強く実直な刑事と極めて強いコントラストをなしている。
被疑者の自白以外全てが謎に包まれている状況で、刑事は被疑者から小出しにされる情報を頼りに事件の真相に迫っていく。その謎解きの感覚を鑑賞者が刑事と一体化するかのように味わうことができるため、作品に没入することになる。